「道はリーダーシップ取るべき」 宗谷本線活性化推進協議会総会 知事の考えが見えず、黄色線区問題で厳しい指摘

【名寄】

沿線自治体などが出席した定期総会

宗谷本線活性化推進協議会(会長・加藤剛士名寄市長)の2024年度定期総会が、27日午後2時半からホテル藤花で開かれた。「JR単独維持困難な線区」(黄色線区)の名寄~稚内間など道内8線区の存続問題で、出席者から「北海道はリーダーシップ、まとめ役として見えてこない」と厳しい指摘があった。
開会で加藤会長は「2018年に国土交通省がJR北海道に監督命令を出し、19年度から23年度まで5年間のアクションプランに基づき、地域一体となって利用促進、コスト削減に取り組んできたが、コロナの影響で23年度中に抜本的な改善策の検討には至らなかった。今年3月15日に新たな監督命令が出され、26年度までに確実に抜本的な改善策を取りまとめるよう求められている。これからの3年間が鉄道を維持していく上で大変重要な機会として認識を持たなければならない」と挨拶。
来賓の蹴揚秀男北海道運輸局交通政策部長は「26年度までの3年間の中で、データやファクトに基づくさまざまな取り組みを実施、効果を検証しなければならないが、これからの取り組みが方向性を決める上で重要であり、運輸局として関係機関と連携したい」。
川戸俊美JR北海道取締役は「国から3年間で1092億円の支援、監督命令を重く受け止めている。最後のチャンスとして中期経営計画、長期ビジョンを不退転の決意で実行し、経営改善したい。抜本的改善策を取りまとめ、地域公共交通を持続的に維持する取り組みを構築したい」と挨拶した。
桜井一成JR北海道旭川支社長は、11日から6月2日までの毎週土・日曜日に運行している観光列車「花たび そうや」について、定員128人に対し平均乗客数は111人。昨年の乗車率は5~6割だったが、今年は8割を超えており「素晴らしい評価が伝わり、乗客が増えている」と報告した。
24年度の事業計画によると、名寄~稚内間の高速化と宗谷本線の利便性向上を実現するための諸活動。
利用促進を図るための諸活動(観光列車運行に向けた企画。関係団体と連携を図り、多様な活用方法を検討するための講演会などを企画)の実施。具体例としては自転車を積み込める「サイクルトレイン」などが挙げられている。
宗谷本線の維持に向けて、JR北海道や国などへの要望会を実施。幹事会も随時開催する。
その他で意見交換も行われ、奥山盛和寒町長は「存廃問題が発生した当時の知事は高橋はるみ氏だったが、道の動きは鈍かった。黄色線区の8線区で鈴木直道知事の考えが見えない。広域行政の北海道はリーダーシップ、まとめ役として見えてこない。黄色8線区は北海道全体の問題。各線区ごとに議論していても交通体系として残せない。道はリーダーシップを取るべきだ」と訴えた。
最後に加藤会長は「アクションを起こすのは今年しかない。皆さんと意見交換し、JRと協力しながら取り組みを進めたい」と語った。
任期満了(2年間)に伴う役員改選も行われたが、全員留任となった。