クマ出没時にドローン活用 名寄市、自動車学園、警察署、共同対処で協定を締結 注意喚起や現場監視、追跡など

【名寄】

ドローン飛行を実演。スピーカーで注意喚起が可能

名寄市、株式会社名寄自動車学園、名寄警察署は、市街地などでクマが出没した際、住民への注意喚起、現場の監視、クマの追跡などでドローンを活用する共同対処で協定を締結。4日午後4時から同署で調印式が行われ、クマ対策でさらなる連携を強化した。
クマに関する認知件数(目撃、足跡、ふんなど)は、名寄市内で5月末現在15件。2023年同期は14件、22年同期は9件だった。
また、名寄警察署管内(名寄、下川、美深、音威子府、中川の5市町村)では5月末現在35件。23年同期は24件、22年同期は22件で、増加傾向にある。
市街地やその付近にクマが出没する事案が名寄市内をはじめ、全道各地で発生しており、住民の関心度は高い上、身近に感じる危険となっている。
そのため、名寄市、ドローンスクールを開講している名寄自動車学園(名寄自動車学校を経営)、名寄警察署が、市街地などでのクマ出没時にドローンを活用し、共同で事態を対処する内容の協定を締結した。
自治体、企業、警察の三者によるクマ出没時のドローン活用協定は全道では初めてとなる。
クマが出没した際、市と警察署は現場の状況など情報を共有し、ドローンの必要性を協議。航空法の特例適用条件となる緊急時の飛行などに該当する場合、市から自動車学園にドローン飛行を要請する。
自動車学園はドローン搭載カメラで現場を監視。市と警察はドローンの撮影映像を活用し、住民への注意喚起や避難誘導、クマの追跡などを行う。
撮影映像は伝送システムで共有可能。車両が入れない所でドローンを飛行させ、クマを追跡したり、リアルタイムで注意喚起を広報することも可能で、効果が期待されている。
調印式では、加藤剛士市長、和田敏明名寄自動車学園代表取締役社長、米村和信名寄警察署長が協定に署名、調印した。
加藤市長は「今年に入ってクマの事案が多く報道されている。クマの事案は早期発見が重要。上空からの捜索も大変重要であり、警察、猟友会、自動車学校と緊密な連携により、市民の安全を確保したい」。
和田社長は「クマに対しては未知数だが、持っているノウハウを生かして、クマの被害が軽減するよう、協力しながら最良のクマ対策を見出したい」。
米村署長は「アーバンベア(市街地に出没するクマ)はあらゆる手段を用いて対処しないと住民を守れない。年々、クマが市街地に近づいていると感じる。道内では被害が起きている。管内で被害を発生させないため連携協力し、有効な手段を取り入れたい」と語った。
調印後、同署駐車場で和田社長がドローン飛行を実演。ドローンのスピーカーから犬の鳴き声や注意喚起の広報を流すことができる他、クマを追い払うための花火も搭載することが可能となっているなど、機能や効果を説明した。

協定に調印した和田社長、加藤市長、米村署長(左から)