メープルシロップ製造へ作業場整備 斉藤嘉仁さん大量生産めざす

メープルシロップを製造する機器と斉藤さん

 稚内市在住の会社員・自営業の斉藤嘉仁さん(40)が取り組む、カエデの樹液を使ったメープルシロップの商品化。西浜地区の実家敷地内に構える樹液を煮詰めるための作業場(シュガーシャック)でボイラーなどを試運転し、来年の製造に向けて作業効率などを確認した。

  斉藤さんは実家の裏山(私有地)にあるカエデの木から樹液を採取し、本格的にメープルシロップの商品化に励んでいる。カエデから樹液が採取できる時期は2月下旬から3月下旬の約1か月。日中はプラス気温、夜間は氷点下にならないと樹液が出ない。木に穴を空け、自然と樹液が袋の中に入るようにし、ひと晩で2~3㍑ほど採取できた日も。今年は気温に左右されながらも約350㍑を採取することができた。

  それからは自宅で、ひたすら樹液を煮詰める作業。煮詰めることで糖度が増し、樹液全体の60分の1がメープルシロップに。瓶詰め作業で約50本を製造。黄金色に輝き、綺麗に透き通ったシロップが完成した。

  6月下旬に数量限定で、通信販売のウェブサイトで注文を受け付けたが、瞬く間に完売するほどの人気を集めた。全て手作業で製造し、大量生産が難しい状況。作業の効率化が必要不可欠とし、環境整備を進めている。

  作業場は今春から整備に取り掛かり、消防の検査などを経て完了。メープルシロップを煮詰めるための機器のエバポレーターを購入し、加工したドラム缶や耐火レンガを使用。試運転ではメープルシロップの代わりに水を薪で熱した。かつて修行に励んだ上勇知・邑陶舎での陶芸の教えが活かされているという。斉藤さんは「今年はガスコンロで煮詰めたが、一度に製造できる量が限られた。新たな機器では多くのシロップが出来るため、作業の効率化に繋がります」と期待を寄せた。

  来年も2月下旬から3月にかけて樹液を採取。その後、製造作業に着手する。斉藤さんは「多くの方に知って頂き、稚内のお土産として親しんで頂けるように頑張っていきたい」と意気込んでいる。

    (梅津眞二)

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