下川町「クマトーク」 撃退スプレーや防御姿勢体験 ヒグマに遭遇した場合の対処学ぶ

【下川】

下川町の地域おこし協力隊として鳥獣対策支援員を担う澁谷麻斗さんと森俊輔さんが、「ヒグマ」をテーマに話し合う「クマトーク」を11日午前9時から町総合グラウンドで開催。ヒグマに会わない方法と、出会ってしまった場合の対処方法を伝えた。
クマトークは、知床でヒグマに関することを気軽に話し合う井戸端会議「クマ端会議」が開催されていることを知り、ヒグマ普及啓発の有効な手段として下川でも企画した。
初回は3月に住民からヒグマ対策の印象を聞き取る目的で開催し、19人が参加。「ヒグマの生態、町の対策、国内のヒグマ事情」を説明。参加者から「求められる対策」で「正しい知識の普及が必要」「毎年現れるエリアや捕獲されているエリアをマップ上に表示できないか」「対処法を1枚のプリントにしてほしい」など意見を聞き、積極的な普及啓発の必要性を実感した。
2回目の今回は、初回で上がった「クマ撃退スプレーの使い方や、ヒグマに会ったときの対処法を教えてほしい」との声に加え、前年度、下川小学校6年生が総合的な学習で取り組んだ議会発表でも対処法を伝える場を求める声があったことから、山菜採りや釣りで山に入る機会が増える時期に合わせ、スプレー実射体験を行うことにした。
当日は20人が参加。澁谷さんたちはヒグマに会わないため、1.音を鳴らすことで人が近くにいると知らせる 2.ヒグマが頻繁に利用する場所(出没情報の確認とともに餌場となる春先のシカの死骸やミズバショウ群生地、7~9月のデントコーン畑、9~10月のミズナラ、山ブドウ、サルナシなどが豊富な場所)を避ける 3.食べ物の放置やごみ投棄はヒグマを引き寄せるのでしない―と呼びかけた。
遭遇してしまった場合は「まず落ち着く。刺激せず、ゆっくり下がってやり過ごす。近づいてきたら、大きく手を振って穏やかに声をかけ、人であることを伝える。突進の多くは威嚇であり、地面を激しくたたくなどした後に後退することが多い。近づいてきたら対抗姿勢に入り、棒など武器を持ち、大きな声と音をたて威嚇。撃退スプレーがあれば噴射する。襲われた場合、うつぶせで顔と腹部を守り、首の後ろに手を回し保護する『防御姿勢』をとる」と説明。
参加者は体験用スプレーで噴射を体験。協力隊の2人が手作りした等身大模型を引き寄せ、迫りくるヒグマの大きさとスピードも再現。20m手前まで近づいたら噴射準備、10m手前で噴射を始め、射程距離となる4、5m手前に迫ったところで吹きかけた。
協力隊員2人は「鈴は効果的だが、鳴らし続けると周りの音が聞きづらくなる。小まめに声も出し伝えながら、クマの音にも気付けることが大切」と助言。
参加者は「どのような心構えが必要か、考える機会になった」「1時間の開催で長過ぎず、気軽に参加しやすかった」と話す。
澁谷さんは「ヒグマを正しく知り、さまざまな事態に備えることは、北海道で暮らす上で重要なこと。スプレーや防御姿勢などをイメージすることで、自分なりの対策を考える機会にしてもらいたい」と語る。