名寄市の町内会④
風連地区の取り組み
風連町史によると、旧風連町は、開村後間もなく行政区域ごとに行政区を設定した。1928(昭和3)年に、当初設置した名誉吏員としての部長を置くことを定めた「部長設置規則」を廃止し、「区長設置規則」を設置して、18の行政区に区長及び区長代理を置いた。65(40)年当時は20の行政区が設置されていたが、95(平成7)年に市街地区を中心に再編・統合が行われて18となった。
2006(平成18)年3月27日に名寄市と合併。住民組織については、「合併特例区設置期間の5年間は、現行制度を存続し、その間、将来の形態について十分協議を重ねる」―などとした。
この間、「住民自治組織移行審議会」を設置して「現行の17行政区を14町内会にすることが望ましい」との答申を得て、合併5年目の10(22)年4月に、14の町内会に再編・統合して名寄市町内会連合会に加盟した。その後、統合により13町内会となり、風連地区の町内会長で「風連地区町内会連絡会(久保和幸会長)」を設置して活動している。
風連地区では「行政区」としての期間が長かったこともあり、行政の補完的な組織としての位置付けが強かった。一方、地域の結び付きが強く、旧小学校区単位(中央、下多寄、西風連、東風連、旭、日進)で公民館(分館)活動を行い、神社の祭典(お祭り)、運動会・スポーツ大会、ビールパーティー、芸能発表などの事業を、旧校区単位で実施してきた。また、総合計画の地域版である「地域計画」などを策定するため、職員を地域ごとに張り付ける地域担当制を実施し、地域担当職員が行事などを実施する際に支援していた。
風連地区を含めて、現在の町内会を取り巻く状況については、全国的な傾向である少子高齢化、過疎化の進行により人口減少が止まらず、教育や少年団活動を含む子育て、経済活動を支える担い手の人材不足、町内会、老人クラブ活動など、さまざまな活動に影響が出ている。
風連地区町内会の課題や今後の展望などについて、連絡会の久保会長は「過疎化、少子高齢化などの人口減少社会の中で山積している課題は大変多く、町内会、老人クラブ、子ども育成会などの運営にも影響が出ている。さらに、農村地区では、高齢化が進み免許返納者への交通手段の確保、買い物難民の問題などがあり、より深刻化している」と話す。一方、「行灯行列、ふるさとまつりなど風連地区全体の行事への参加を含めて、地縁・血縁など地域のつながりは強い」と語る。
連絡会では、名寄市町内会連合会主催の事業の他、独自の事業としてパークゴルフ大会の開催や、市に対する「ごみ等の持ち出しが困難な方への支援に関する要望」など独自の活動も実施している。
今後の活動については、「風連地区は、保育所・幼稚園‐小学校‐中学校は全て1校(園)なので、旧小学校区を中心としながらも、各町内会の連携を密にして各団体などとの関係も強化したい」と話す。また、「新年会、夏祭り、敬老会、草刈り、清掃活動、ごみ処理など現行の事業を継続して、楽しく住みよい町内会づくりに努めたい」。人口減少が続く中、「今後は、町内会の再編・統合なども想定されるが、昨年、風連西区で2軒の新築住宅が建てられた。子育て支援などを地域全体で行い、安全・安心で住んで良かったと思う地域づくりを進めたい」と意欲を語った。
〈東風連町内会の取り組み〉
東風連町内会は、現在も地域で運動会を開催するなど、多くの事業を実施している。同町内会の武田修一会長に話を聞いた。武田さんは、副会長を経て20(令和2)年度から会長を務めている。
同町内会は、合併前の旧行政区の9区、15区、10区の一部で構成している。町内会への移行の際、「10区をどうするかで、隣の旭町内会と1年間協議した。最終的には、旧小学校区、神社などが双方で異なることから、分割することで落ち着いた」と話し、当時を振り返る。
同町内会は128世帯数で、うち119世帯が町内会に加入。農家世帯が中心であるが、高齢などにより離農が進み、現在の農家戸数は51戸である。
1世帯当たりの町内会費は年間6000円で、同町内会に公民館(分館)があることから分館の年会費2000円と合わせて合計8000円。本年度の町内会の予算規模は227万5000円、分館の予算規模は56万5000円となっている。
主な事業として、資源回収(育成部)、道路・河川の愛護活動、高齢者の見守り事業、環境整備(グラウンドなどの草刈り、東風連地域運動会(公民館と合同)、ビールパーティー(実行委員会主催)、収穫祭、農政部研修会、女性部研修会、クリスマスお楽しみ会(育成部)、除雪サービス事業などを実施している。
また、公民館分館事業として、敬老会、麻雀大会、ボウリング交流会、視察研修会などを実施。特に、運動会は、東風連小学校が閉校(16〔平成28〕年3月末)した後も、多世代交流できることもあって毎年開催している。
武田さんは、町内会が抱える課題について「人口減少、高齢化、役員のなり手不足など多くを抱えるが、行事などの参加者が一人でも増えるよう工夫している」と話す。最近は特に、独居を含めて高齢者が多くなっていることから、「運転免許返納者の買い物や通院などの問題があり、市には、デマンドバスなどを検討してほしい」と述べ、今後も「現在実施している事業は、工夫を重ね、できるだけ続けたい」と語っていた。


