【美深】
名寄警察署管内5自治体と警察によるクマ対策緊急会議が、4月30日午前10時から同署美深警察庁舎で開かれ、関係機関・団体が情報共有や連携強化を図った。
4月18、19日に名寄市緑丘の住宅街でクマが出没し、駆除したことや、25日には名寄市智恵文の「比翼の滝」付近で観光客がクマに襲われる(クマを蹴って撃退し、負傷なし)といった事案を踏まえ、緊急対策会議を開催した。
同署をはじめ、名寄、美深、下川、音威子府、中川の管内5市町村、猟友会(ハンター)などから28人が出席した。
米村和信署長は「道内各地の山林、農地、住宅街にクマが出没。名寄警察署管内でもクマ出没が増えている。アーバンベア(市街地に出没するクマ)はしっかり対策をしなければ、住民を守れない。自治体、ハンター、警察が連携し、現場に即した訓練も必要。住民への広報、人的被害防止策を検討し、確実に講じなければならない」と挨拶した。
続いて、ドローンスクールを開設している名寄自動車学校の和田敏明管理者が、クマ出没時のドローンの有効性について説明。
狩猟で用いられている大型の機体「ハンタードローン」を紹介。カメラとスピーカーを搭載し、スピーカーから猟犬の鳴き声でクマを追い払うことや、住民への注意呼びかけ広報を流せることなどを説明した。今後、ドローンの導入を検討していく。
協議に入り、同署からヒグマ駆除に関する法的根拠を説明。
「鳥獣保護管理法」により、人間の生活環境に被害を及ぼさないようにすること(夜間や住宅密集地では狩猟禁止)。
また「警察官職務執行法」により、危害防止のために通常必要と認められる措置(住民を退避、安全を確保した上での猟銃による駆除)を取ることとして、クマを駆除できることなどを解説した。
名寄市からは緑丘でのクマ出没時の対応を説明。地元ハンターによる名寄市ヒグマ駆除隊員が出動し、「鳥獣保護管理法」によって駆除したことや、住民には公用車や市ホームページ、市公式LINEで周知したことなどを説明した。
最後に、二瓶祥司同署美深警察庁舎所長は「クマ対策は人的被害を発生させないこと。自治体、ハンターと情報を共有し、適切な駆除をしなければならない。このような機会を再度、多く持って、今後、対応が速やかにできるよう協議したい」と挨拶した。
土田雅幸同署生活安全課長は「管内では4月からクマ出没が相次いでいる。今年に入って15件の通報があるが、それ以上に目撃されている」。
山岸克利名寄市経済部耕地林務課長は「雪解けが早いため、クマ出没も例年より早くなっている。春グマ駆除を実施しているが、自治体が連携して行っていく必要がある」と話した。