【美深】
JR恩根内駅の待合室に設置されていた「恩」のプレートが、恩根内郵便局(遠藤好晴局長)と恩根内センタープラザで掲げられており、駅があった名残をしのばせている。
同駅は、1911年(明治44年)11月3日開設。当初は木造駅舎だったが、86年11月1日に無人化され、貨車改造の待合室となった後、93年に美深町が待合室を改築した。
列車通学生を含めて利用客の減少に伴い、今年3月15日に最終営業となり、恩根内自治会(増子周一会長)で「さよならセレモニー」を開催。翌16日のダイヤ改正で廃止された。
「恩」のプレートは、同自治会が以前、美深ふるさと夏まつりのあんどん行列、美深町民大運動会などの町内イベントへの参加や、恩根内小学校(2008年3月閉校)の運動会など、地域イベントで身にまとっていた黄色い法被の背面にデザインされている「恩」をモチーフに制作した。
プレートは、同駅が自治体管理に移行した21年4月から待合室の市街地側とホーム側に合わせて2枚が掲げられていた。
駅とともに地域のシンボルとして親しまれてきたが、同駅の廃止に伴って今後、待合室は解体されることが決まっているため、プレートも撤去された。
駅廃止後、一枚が今年3月下旬から恩根内郵便局の車庫で、もう一枚は4月下旬から恩根内センタープラザの正面玄関横に掲げられている。
黄色の地に黒と赤色で「恩」と書かれており、周囲に映えるプレートだ。
駅があった名残をしのばせており、住民たちは目にしているが、同自治会の総務部長を務める遠藤局長は「駅を使っていた先輩たちは寂しさを感じていると思う。郵便局は駅前通りにあるが、駅がなくなって『駅前通り』とは言えなくなってしまった」と語っている。