【美深】
第27回「美深白樺樹液春まつり2025」が12、13の両日、町文化会館COM100とファームイン・トント周辺(町内仁宇布)で開かれ、前夜祭でワークショップや講演会など。本祭ではアイヌ神事や樹液採集体験など、さまざまなプログラムで盛り上がり、早春の自然を満喫した。
美深白樺樹液を楽しむ会(成毛久則会長)が主催し、1996年から開催(新型コロナ禍で2020年~22年は中止)。
樹液飲料は、国内ではなじみが薄いが、美深町内では1989年から白樺樹液飲料水を生産、販売。樹液の商品化や研究開発により白樺は潜在価値を高め、北海道の超優良樹木として脚光を浴びている。樹液は早春の短い時期しか採集できない。
今年は、95年に町内で世界初の「国際樹液サミット」(以降、2015年まで5年おきに開催)が開催されてから30年を迎えることを記念し、前夜祭と本祭の2日間の日程で開催した。
12日は町文化会館で前夜祭。北海道アイヌ協会上川支部の伊沢修一さんによるアイヌ木彫り実演、白樺染め羊毛の糸つむぎや白樺樹皮細工などのワークショップ、樹液ハンドエステ、白樺製品展示、白樺樹液コーヒー提供、特産品販売、飲食売店、美深マルシェなどが催され、にぎわいを見せた。
開会式で成毛会長は「地域おこし、都市と地方の交流で多くの方に来ていただき、開催にこぎつけている。企業の方も美深を訪れており、樹液の商品化につながっている」と挨拶した。
白樺講演会では「生命の水『白樺水』の肌効果」をテーマに、コーセーの大塚康介GMが「DECORT?(デコルテ)AQとは」、平昌宏主任が「白樺樹液の効果、効能の紹介」と題して講演。コーセーと美深町は昨年9月25日、白樺の森林保全を目的に「DECORT?森林づくり活動協定」を締結している。
白樺樹液の効果や効能として、生命活動の栄養となる多種多様な成分を含むとともに、表皮の角化を促して自然なターンオーバーをサポートし、肌の天然保湿因子を増やし潤いに満ちた肌になることを挙げた。
その後、アムリターラ(東京都)の勝田小百合代表取締役が「白樺樹液のオーガニックコスメでビューティエイジングケア」、セントモニカ(札幌市)の七戸千絵代表取締役が「母なる樹から生まれた白樺樹液」、白樺プロジェクト(旭川市)の鳥羽山聡代表が「シラカバは北海道の持続可能な地域資源」をテーマに講演。アトラクションで、同支部によるアイヌの古式舞踊が披露された。
13日はファームイン・トント周辺で本祭を開催。アイヌの神事「カムイノミ」でスタートし、神に祈りをささげながら、自然の恵みに感謝した。
樹液採集体験では、来場者が雪がまだ多く残る白樺林へ向かった。樹木の幹から伸び出ている管を通して樹液が抽出されており、缶にたまった樹液をコップにくんで味わい、ほんのりした甘みを実感。樹木によって味がわずかに違い、飲み比べる人もいた。
その他、カンジキ散策自然体験、樹液のお話、樹液コーヒー・樹液茶提供、早春たこ揚げ大会、春掘りジャガイモ販売(千円詰め放題)、アイヌグッズの店、特産品販売、上川総合振興局展示、羊毛フェルト作品販売、美深うまいものコーナーなどが設けられた。
また、仁宇布小中学校の児童生徒がメンバーで、アウトドア活動に取り組む「レラ・仁宇布」のブースでは活動資金造成のため、自ら育てたジャガイモで作ったイモ餅などを販売、注目を集めた。
当日は晴天が広がって暖かな陽気となり、350人が来場。早春の自然を体感するなど盛況だった。

甘みを実感した


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