【名寄】
旭川地方・家庭裁判所名寄支部主催の夏休み子ども企画「裁判所ってどんなところ?みんなで体験!」が、28日午後1時半から同支部内で行われ、小学生が模擬裁判などを体験した。
裁判所の業務に興味・関心を深めてもらうことを目的に隔年で開催。対象は小学5・6年生で、名寄市、下川町から10人が参加した。
同支部内にある本物の法廷を使った模擬裁判では、銀行強盗致傷事件を想定。子どもたちが、裁判官、検察官、弁護人、被告人、証人の役を、それぞれ担当した。
はじめに、同支部書記官の坂本峻輔さんが、裁判所の仕組みや、模擬裁判の流れなどを説明。
裁判では、検察官が「被告人は、包丁で銀行員を脅して現金50万円を奪うとともに、銀行員の手を切りつけ、全治2週間のけがを負わせた」などと起訴状を読み上げた。
これに対して被告人と弁護側の証人は、「強盗はしていません。何かの間違いです」「友達である被告人と一緒にテレビを見ていました」などと述べ、無罪を主張した。
この証言に対し、検察官は「被告人は仕事を辞めてから働いていないこと、事件発生後、滞納していた家賃16万円が支払われている他、家の中で25万円の現金が見つかった」などと、本番さながらの裁判を進行。
2班に分かれて有罪か無罪かを評議し、代表者が発表した。
評議では、有罪の理由として「証人は2人とも、犯人は被告人だと言っていた」「包丁に銀行員の血がついていた」。無罪の理由として「アパートにはいろいろな人が住んでいる。他にも犯人の可能性のある人はいる」などの意見が出された。
発表後、名寄簡易裁判所の小川正幸裁判官が、裁判の仕組みや強盗致傷罪に該当するかどうかの要件などを説明。刑事裁判のポイントとして①推定無罪の原則②有罪の立証は検察官が行う③疑わしきは被告人の利益―などを説明した。
評議の後、発表した名寄南小5年生の伊藤柚穂(ゆずほ)さんは「裁判所に来たのは初めてです。こういう体験ができて良い勉強になりました。まとめるのは大変で、難しかったです」。名寄西小5年生の佐伯優斗(ひろと)君は「初めて模擬裁判に参加しました。弁護士の役をやり、被告人のことを無罪にすることが分かりました。緊張して、話すのが難しかったです」と、それぞれ語った。
模擬裁判の閉廷後、庁舎見学、裁判所クイズ大会、裁判官への質問タイムなどがあり、普段立ち入ることのない裁判所内や裁判所の業務に理解を深めた。


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