【下川】
NPO法人森の生活(麻生翼理事長)が所有・管理する「美桑が丘」が、地域生物多様性増進法に基づく環境省の「自然共生サイト」に認定され、環境・農林水産・国土交通の3大臣の連名による「自然共生サイト認定証」が届いた。
環境省では、2023年度から民間等の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトに認定。今年4月には、自然共生サイトを法制化した地域生物多様性増進法が施行されている。
同法は、ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を目指し、企業や地域住民など多様な主体による生物多様性の保全・回復・創出(増進)活動を促進・支援することを目的にしている。
自然共生サイトへの認定・登録は、本年度2回目。森の生活が所有・管理する「美桑が丘」を含めて全国で58カ所が認定され、道内でのNPO法人の認定は初めてとなった。
美桑が丘は、10年に下川町が用地を取得。生い茂っていた笹を住民らで刈り取り、12年に町の環境未来都市計画の中で、森林文化を創造する森林体験フィールドとして整備することが決定。順次整備され、現在に至っている。また、希少種7種を含む150種以上の動植物の生態系が確認されている。
森の生活では、12年から指定管理を受け、13年には「みくわの日」(月1回)をスタート。自然体験や住民参加型のワークショップなどを開催し、子どもから大人までが集える場所として活用している。
自然共生サイトへの申請・登録は、「生物多様性の価値」として「重要性が認められている」「原生的自然」「二次的自然」「生態系サービスと健全な生態系」「希少種」など、9項目からなる「いずれかの価値を有すること」が基準となっている。
美桑が丘は「二次的自然」「生態系サービスと健全な生態系」「希少種」の三つが認められた。さらに、有識者で構成する認定審査委員会から「本活動は、市民参加の体制が整備され、地域のレクリエーションの場としても機能していることを高く評価する」とのコメントが出されている。
環境省北海道環境事務所地方生物多様性推進室の長谷部真自然環境調整官は、「『美桑が丘』は、①幼児から大人までが頻繁に利用している②認定されている他地域は、市街地から離れている場所が多いが、美桑が丘は市街地から近く、放課後も児童らが遊びに来ている③はじめは荒れていたが、自分たちで笹刈りや焚火スペース、東屋設置などを実施した」などと、これまでの取り組みを評価し「他地域の模範となってほしい」とたたえたている。
麻生理事長は、指定管理者の時代から現在までの取り組みを振り返り「申請の際は、長谷部自然環境調整官にいろいろな助言や指導をいただき感謝しています。これまで取り組んできたことが評価され、大変うれしいです。人が利用することで生物の多様性を高めることができるので、今後も次世代につながるような活動を続けていきたい」と、喜びを語った。
また、自然共生サイトへの支援を行う企業等には、環境省から「支援証明書」が発行される。発行によりTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に沿った情報開示などのメリットがある。
麻生理事長は、美桑が丘の森の運営について、「指定管理料がなくなったことで、運営資金が不足している。企業などの支援をお願いしたい」と呼びかけ、「環境省の助成制度などを活用したい」と話している。


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