生産者や面積維持へ アスパラ苗を無償提供 道北なよろ農協、市が連携

【名寄】

アスパラ苗をトラックに積み込む生産者

名寄市を代表する農産物として全国でも人気の高いグリーンアスパラガス。一方で、市内生産者が減少傾向にあるため、市内農家による持続的な生産に向け、道北なよろ農協(村上清組合長)は、作付を希望する組合員農家に対するアスパラ苗無償提供の新たな取り組みをスタートさせた。
 市内のアスパラ生産農家は約120戸、作付総面積は約135ha。甘みが強く、みずみずしく、ふるさと納税返礼品メニューの中でも人気の高い名寄を代表する農作物だ。
 だが、収穫作業の基本は機械ではなく人力で、重労働となることに加え、一定程度の収穫人員を確保する必要で、少子高齢化による市内総体の農家戸数減少などの影響もあり、アスパラを生産する農家も年々減少している。
 アスパラ苗の無償提供は、生産者の普及促進や作付面積の維持、生産者の確保による持続的な生産などを目的とした農協による新たな事業。2023年度から27年度までを期間とした農協の第5次地域農業振興計画の取り組みとして位置付けているため、27年度まで継続する。
 提供している苗は、市が協力、連携して名寄市農業振興センターで育苗したもの。事前に希望を受け付けた組合員農家約30戸に対して、5日から今週末までで用意した約8万6千株を無償で提供している。
 12日、同センターに苗の提供を受けにきた農業者は、過去にアスパラを生産していたものの、収穫作業などの負担増で生産をやめていた。だが、今回の無償提供事業のスタートを知り、生産を再開したとのことで、金額にすると100万円以上となる大量の苗をトラックに積んで持ち帰っていた。
 同センターでは「今年作付けした苗は、来シーズンから一部収穫できる。苗を無料で受け取れて収益につながる事業で、4年間継続されることから、生産していない農家も来シーズン以降に検討してほしい」などと話しており、期待を寄せている。