稚内のぎんなん草漁始まる 〝冬の味覚〟採取 荒れる波と風雪に耐え

ぎんなん草を採取する漁業者

  冬の風物詩、稚内漁協のぎんなん草漁が、21日に解禁した。初日は厳しい寒さで生憎の吹雪模様。市内宝来から恵比須地区にかけての前浜で、ドライスーツに身を包んだ漁業者らが、荒れる波や強い風雪に耐えながら採取に励んだ。

 この日の最低気温は氷点下8度前後、最高でも氷点下6度と厳しい寒さ。採取開始となる午前8時すぎは地吹雪に見舞われ、海は荒れ模様。1年で最も寒い時期だけに、漁もひと苦労。

  それでも宝来や恵比須の前浜で漁業者が出漁。消波ブロック付近で、海は膝上から腰まで浸かるほどの深さで漁業者らは白い息を吐きながら懸命に作業。身をかがめて箱メガネで海中を覗きながら、海底に生えているぎんなん草を刈り取り、浮き輪につけた網袋に入れて陸に運んだ。

  80代のベテラン漁業者は「数量的に少ない印象。これからの生育に期待したい」。別の漁業者は「ちょっと量が少なめ。今後どうなるか期待しながら漁を行っていきたい」と。

  採取したぎんなん草は、丁寧に手洗い。ハサミで葉と茎を切り分け、細かいゴミなどを綺麗に洗い流し、製品として出荷。最北の冬の味覚として人気が高く、家庭の食卓を旬の香りで飾る逸品。味噌汁などの具材として親しまれる。

  ぎんなん草漁は、漁業者が各自で判断し、操業を行う自由採取。操業時間は午前8時から正午。漁期は採取状況を見ながら決めることにしている。

(梅津眞二)