自らの血液で作る馬の点眼液

 愛馬ハナが「ものもらい」になったことがある。2021年5月2日の朝、ハナが左目をつむった状態だった。外傷はないが痛かゆい様子。まぶたもややはれていた。
 その日の午前中はそのまま、乗馬や引き馬で運動。昼になると既に左目を開けられる状態にまで回復していた。
 だが念のため、馬飼い先輩のご家族に獣医を呼んでいただき合流。やはり目に異常はなく、ものもらいのようだ。
 馬自身の血液で、血清を分離して目薬をつくることができるらしく、採血していただいた。さすがのハナも、注射針を刺されることに焦って飛び跳ねたりもしたが辛抱した。
 翌日、獣医がハナの採血で作った自家血清点眼液を持参。ハナの目はほとんど治っていたが、筆者とハナが互いに治療に慣れる訓練のつもりで、数日間点眼した。因子を外から補うことで、傷の治りを早める効果が期待できるようだ。
 ハナは顔を上げると、目が筆者の顔より高い位置になる。点眼のときに怖がって動かれると、点眼液が筆者の顔に掛かり、自分の口に入ることもあった。日々経験である。
 一般的に馬が目をショボショボさせる、涙を多く流す、黒目の一部が白くなるなどの症状は、眼の表面を傷つけている可能性がある。早期に発見して適切に対処することで、問題にならずに済む。
 今回の点眼治療に掛かった費用は1万7千円。うち7千円以上は初診料と休日診察料だった。ハナの目は自力で治っていたが、獣医とのつながりをつくる機会、学ぶための費用と考えれば、意味のある大切な出費だったと断言できる。

<2021年8月22日付名寄新聞掲載の記事を基に再構成しました>