第9回 止まらない人口減少②
前回も触れたが、人口減少は名寄市の最大の課題となっている。
名寄商工会議所と風連商工会の会員数の推移の資料を提供してもらった【表1・表2】。
商工会議所の会員数は32年間で約30%減少。徳田ショッピングセンター(1999年)、イオン名寄店(2008年)の開店後に減少数が大きくなっており、22年度の増加は、コロナ対策の事業支援などによる。
会員数の減少が続いている状況の中、名寄商工会議所事務局では①飲食業、サービス業などの分野を中心にしながら、名寄産和牛への取り組みなどでも開業の動きがあること②電子地域内通貨である「ヨロカ」による地域内循環による経済効果③王子マテリア跡地のエアウオーター、日本通運などによる活用―などの新しい動きが出てきていると話す。
風連商工会では、24年間で33%が減少。会員数が101を切ると北海道からの補助金が打ち切られるのでギリギリの状況となっている。後継者不在で高齢による廃業が続いており、最近では、株式会社の農業法人が入会して農業関係が7社になったと話している。
国土交通省は、「地域生活圏に係るデータ等」として「市町村人口規模別の施設の立地確率」をホームページ上で公表している。【図1】人口規模を最小の2000人未満から、最大の50万人以上まで11に区分して「小売」「宿泊・飲食サービス」「生活関連サービス」「金融」「学術研究、教育・学習支援」「医療・福祉」「対企業サービス」の7分野で、店舗や施設の設置、サービスの提供状況などを表している。
名寄市の人口区分(2万人~5万人)からみると、全7分野とも、ほとんどの店舗や施設等が立地されており、サービスの提供もなされている。一方、名寄市に存在する救命救急センターや大学などは、概ね10万人以上の人口規模が標準となっているのが理解できる。
通勤・通学などの周辺人口を含めても3万人未満の名寄市にとって、多くの施設などが立地し、都市機能は充実している。しかしながら、人口2万人を境に、小売り、飲食、生活関連、対企業サービスなど、民間を中心にしたサービスは存在しなくなってくる。
こうした点からも、人口2万人の維持は市民生活にとっても極めて重要だ。
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厚沢部町、上士幌町、湧別町、中富良野町などでは、保育園の留学制度(一時保育を延長する形)で交流人口を増やす取り組みを進めている。
厚沢部町では、2019年度に町認定こども園「はぜる」を開設。少子化や子育て世代の流出防止のため、22年度から保育園留学をスタートさせた。東京に本社がある地域おこしなどの事業に携わる(株)キッチハイクの山本雅也代表とのつながりも後押しとなった。同園は、定員120人で充足率は約6割。保育留学には、親子を受け入れる施設が必要で、同町には10家族を受け入れることができる建物がある。10棟のうち、6棟は空き家の改修、ちょっと暮らし住宅の建設などにより町が整備。残り4棟はキッチハイクが、保育留学のための寮として整備した。留学期間は、原則1週間から3週間で、月をまたげば最大4週間まで可能。料金は時期によって異なるが、親2人、子ども1人の1週間で21万円台からとなっている。同園では、広い園庭を活用した伸び伸び保育、特産品などを収穫体験する自然保育などを売りにしている。
厚沢部町政策推進課の担当者は「保育留学には、海外も含めて全国から訪れる。昨年度は約160組、本年度は200組程度が見込まれる」と話し、「今年から2地域居住にも取り組んでいる」と語ってくれた。地方自治体が実施する二地域居住・関係人口施策については、特別交付税で措置されている。
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釧路市では、長期滞在者など2地域に居住する人口を増やすことを目的に2025年8月「釧路市二地域居住等促進戦略」を定めた。人口のピークは1980年の約23万人で、2025年9月末現在、約15万2000人。近年は毎年2%(約3000人)の減少が続いている。
釧路市には、涼しい夏を求めて毎年6月~9月に、首都圏などから長期滞在者が数多く訪れる。仕事やスポーツ以外で連続4日以上滞在する「長期滞在者」は、13年連続で道内1位となっている。24年度に釧路市内で3泊4日以上過ごした人は、2779人に上り、延べ総数は3万572日。1組平均で17日滞在している。
09年に「くしろ長期滞在ビジネス研究会」を官民一体で立ち上げ、長期滞在者などを受け入れるため、マンスリーマンション、ホテル、長期契約物件、売買物件、売買賃貸取扱店などをホームページで紹介している。滞在者数は順調に増えているが、課題として6月~9月の夏季間に集中していること、滞在者の9割以上が60代以上―などを挙げている。
長期滞在者や2地域居住者には、「くしろステイメンバーズカード」を発行して、図書館での本の貸出、博物館・温水プール等の社会教育(体育)施設等利用料の減額、温泉やレストランでの割引などを実施。滞在期間中は、市民と同じ行政サービスを一部で提供している。
名寄市を含む上川北部地方は、釧路の夏に比べて気温は高いが、交流人口の拡大を含めて経済効果は大きく、検討の余地はあるかもしれない。
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上川管内で唯一人口が増えている東川町は、町立の日本語学校を有し、外国人との共生社会を目指してまちづくりを進めている。
名寄市の外国人居住者の推移を【表3】にまとめた。2025年11月1日現在で、19カ国から135人が名寄市で働き居住している。近年は、ベトナム、インドネシア、ネパールなどの国籍者が増えており、介護、建設、農業などの分野で働く人が多い。10月には150人を超えていたので、4月~10月の農繁期の時期は、インドネシア人を中心にさらに多くの外国人が暮らしている。
14区町内会では、居住するネパール人と町内会の行事などを通してさまざまな交流を深めている。
日本の文化などを学び外国人同士が交流する「にほんごひろば」、日本語を勉強する「日本語教室」を市交流推進課で開催している。同教室は、4月~11月の原則毎週月曜日に開催。日本語能力検定のN3を目指す人や日本語を学びたい人を中心に集まり、N3検定は6人が受験し全員が合格した。同課では、「内容を一部変更しながら、来年以降も継続したい」と話している。
また、モンゴルや中国などで日本語教育に携わった元JICA協力隊員の桜井千代子さんが地域おこし協力隊員として採用された。
名寄市においても、外国人を含めた共生のまちづくりが進められている。






