4月から下川事協組合が運営 下川農産物加工研究所 今後の取り組みに期待 新たに辻村泰司所長が着任

【下川】

下川事業協同組合(三津橋英実理事長)では、4月から町の委託を受け、下川農産物加工研究所の運営(経営)を行っている。
同組合の理事である奈須憲一郎さんと、新たに地域おこし協力隊員として着任し、同農産物加工研究所長に就任した辻村泰司さんに、話を伺った。
事業協同組合は、中小企業等協同組合法に基づき設立。現在、20の事業所が加入し、トマトジュース、手延べ?などの特産品販売、商品券発行などの広告宣伝事業、各種委託業務などを中心に事業展開している。
2021年2月には、北海道の特定地域づくり事業の採択を受け、マルチワーカー(同時に複数の仕事に携わる働き方)の派遣などの事業も実施している。
農産物加工研究所は、1982年に下川町が建設。主にトマトジュースの製造・販売などを実施しており、今年3月まで町が運営していた。3~4年前から、同組合に対して運営委託の話があり、双方の協議が整ったので、今年から受託して運営している(奈須理事)。
こうした中、7月16日付で、辻村さんが新たな所長として着任。
辻村さんは、自動車関連部品のサプライチェーンの仕事が長く、前職は滋賀県で、ダイハツ工業の関連会社の開発部門で働いていた。
応募の動機として「若い時バイクのツーリングで北海道の印象が良かった」ことや、「農産物加工所は初めてだけど、ものづくりやマネジメントの経験があったのでチャレンジした」と話す。また、定年まで残り6年あったが「周囲から1日も早い方が良いと勧められ決断した」と笑顔で語った。
同加工所は現在、職員2人とパート職員12人で、週に3~4日稼働している。トマトジュースの製造が始まる前の6月は、タケノコの缶詰を製作している。
トマトの収穫量は、ピーク時は年間200tあったが、現在は100t程度で半分になっている。同時に出荷本数も、主力の500mlで約10万本と半減し、微減の傾向が続いている。
販売の主力は、郵便局のふるさと便が約6割を占め、残りが一般販売となっている。
就任の抱負として、辻村さんは「先ず、作業工程のルール化など『標準』のマニュアルを作成したい」。と話し、販売先についても、「一般販売を拡大し、少しでも収益アップに努めたい」と意欲を示す。
下川町の地域おこし協力隊員は、農業支援員の5人をはじめ、鳥獣支援員、空き家コーディネーターなど11人であったが、辻村さんの着任で12人となった。
上川管内では、東川町の70人に比べれば少ないものの、近隣の美深町の2人、名寄市の7人と比べると多い。
農産物加工研究所は、事業組合への運営委託、新所長の着任など、新たな段階を迎えている。トマト生産農家の減少などにより、出荷額も微減が続いているが、今後の新たな取り組みが期待される。