夢に向かって海外で学び深める 荒井さん(名高2年)ニュージーランドへ 一見さん(おと高1年)イタリアへ 「トビタテ!留学JAPAN」道北地域からは初の採択に

【名寄】

文部科学省が官民協働で取り組む海外留学支援制度「トビタテ!留学 JAPAN 新・日本代表プログラム(高校生コース)」に、名寄高校普通科2年の荒井さくらさん、おといねっぷ美術工芸高校工芸科1年の一見ひかるさんの2人が採択された。同制度が開始されて以来、道北地域の高校生が選ばれるのは今回が初で、2人は来年1月から約2カ月間海外を訪れ、自らの夢に向かって学びを深める。
 「トビタテ!留学JAPAN」は、海外留学に挑戦する機運を醸成するとともに、日本の未来を創る人材を育成することなどを目的に、2013年度から実施(22年度までに約9500人が採択)。23年度からは第2ステージとして再スタート。全国から2238人の応募があり、このうち708人が採択。道内では公立高校8校21人、私立高校7校15人が選ばれた。
荒井さんは同プログラムの「マイ探求コース」で、「障がい者と健常者の共存」をテーマに、ニュージーランドへ留学(1月14日~3月17日)。
一見さんは「スポーツ・芸術探求コース」で、「海外の木工家具技術を身につける」をテーマに、イタリアへ留学(1月8日~3月1日)する。
留学を決意したきっかけで、荒井さんは「高校に入り、留学を知らせるポスターを見て、行くなら今しかない―と決意しました。日本は障がいに対する認識があまり深まっていないと感じていて、障がいというものをどのように認識すべきか知りたいと思いました。ニュージーランドは規模や社会の歴史的背景など、日本に似ているものがあり、福祉や医療について学びたいと思いました」。
一見さんは「さまざまな国に留学経験のある父から、よくその話を聞いていて、留学に興味がありました。また、小さいころからものづくりが好きで、今の高校に入ったのも工芸を習いたいと思ったからです。イタリアは木や石などの自然素材を多く使った家具が多いこと、また、イタリア人は世界一古い物が捨てられないと言われていて、代々受け継がれている技術などが学べるのではないかと思いました」と話す。
ニュージーランドを訪れる荒井さんは、ホームステイしながら語学学校(NZLC)で学んだ後、現地の大学(セルウィン・カレッジ)に通学し、特別支援学級の見学などを予定。荒井さんは「障がいを持つ方々を支援している人たちや、介護の仕事をしている人たちにインタビューしたいです。また、ニュージーランドならではのユニバーサルデザインなども学びたいです」。
一見さんは、イタリアのフィレンツェ市を訪れ、木工家具職人のアトリエで技術などを学ぶ計画とのこと。各国から勉強に訪れている人たちとシェアハウス生活を送るという。一見さんは「イタリではフリーマーケットのようなところに、歴史のある作品があるとのことで、そういった作品を探しに行って、持ち主に話を聞いたりしてみたいです。また、美術館なども訪れたいです」。
将来の展望で、荒井さんは「助産師を目指しています。医療従事者の立場から、母親が抱える不安などに寄り添いながら支援できれば。相談室などを自分で運営できればと思っています」。
一見さんは「木工芸で国際交流ができればと考えています。そういった活動の中心に、自分がなれればと思います」などと語る。
2人とも初の海外とのこと。留学まで1カ月あまりとなり、荒井さんは「英検に挑戦したり、毎日洋楽を聴くなどして、英語に慣れるよう心掛けています。不安はありますが、自分で決めたことなので、芯を持ってやり切れるよう準備したいです。浴衣や甚平などを持参し、ホストファミリーと一緒に着て写真も撮りたいです」。
一見さんは「イタリア語の勉強はもちろん、一人でいろいろなところを訪れる練習もしています。はじめはすごく不安でしたが、あこがれていた留学で、今はすごく楽しみです。家具修復を学びに来る各国の学生たちと、日本の伝統工芸品を作ったりして、日本文化も広めることができれば」と決意を新たにしている。

海外留学へ決意を新たにする荒井さん(左)と一見さん