長期保管と貯蔵能力増強、倉庫の逼迫状況緩和へ 道北なよろ農協、米低温貯蔵施設工事安全祈願祭 来年秋から供用開始予定

【名寄】

道北なよろ農協(村上清組合長)の米低温貯蔵施設新設工事安全祈願祭が、30日午前9時半から同施設建設地(市内曙257、上川ライスターミナル名寄工場西側)で開かれた。もち米の長期保管と貯蔵能力増強に対応し、倉庫の逼迫(ひっぱく)状況を緩和するため新設するもので、防衛省補助の「名寄演習場等周辺農業用施設設置助成事業」も活用。来年秋からの供用開始を予定している。
同農協によると、2023年度のもち米作付面積は主食、加工合わせて3240ha。近年は生産者の経営面積拡大に伴い、作付けも年々増加しており、10年前と比べて107%となっている。
24年度も、もち米作付面積は前年度と同程度で、生産量は30万5570俵(1俵60kg)の取り扱いを計画している。
一方、農業用倉庫に長期間保管を必要とする土地利用型作物の小麦や大豆なども経営面積拡大に伴い、作付けが増加しており、倉庫が逼迫している状況が続いている。
そのうち米の貯蔵施設は現在7カ所あるが、出荷時期が集中するため保管し切れなくなり、受け入れ制限をすることもあり、収穫作業に支障をきたしていた。
同農協では、倉庫の逼迫状況を緩和するため、名寄市や北海道防衛局の協力を得て、24年度防衛省補助の「名寄演習場等周辺農業用施設設置助成事業」を活用し、8カ所目となる米貯蔵施設の建設を計画している。
もち米の製品、原料を貯蔵することを目的に、製品ベースで約2万5千俵の収容能力を備えるとともに、品質保持のための冷凍機を備え付けることにしており、低温貯蔵が可能となっている。
施設面積は1千平方m。総事業費は5億円で、そのうち建屋工事費が4億3千万円で、3分の2を同助成事業で補助する。残り7千万円は設計管理費、建設管理費、外構工事費など。
今後、施工業者との工事日程打ち合わせを経て着工し、来年3月に完成、来年秋から供用開始する予定となっている。
もち米は同農協、名寄市を代表する地域農産品であり、安定生産とともに、長期保管、貯蔵能力増強に対応してブランド力強化を図り、さらなるもち米団地としての地位を確立していく。
安全祈願祭では、修祓(しゅうばつ)、祝詞奏上などに続いて、出席者たちが玉串をささげ、工事の安全を祈った。
村上組合長は「ここ数年は豊作が続いて、収量も多くなっている。倉庫の逼迫状況を緩和し、保管や出荷で農家の負担軽減を図りたい。来年、倉庫に入り切らないくらいの豊作となることを願っている」。
加藤剛士市長は「もち米は、名寄市の大きな強み。さらなる生産効率、品質向上を願っている」。
施工業者を代表して佐藤重工業株式会社(下川)の佐藤和幸社長も挨拶した。
最後に中村耕司同農協建設委員長が「施設完成により、産地としてさらなる飛躍を期待したい」と述べ、出席者たちはもち米生産振興に期待を込めていた。