ドサンコの美桑が丘放牧の始まり

 2024年からどさんこハナは、町民みんなの森林・下川町南町の美桑が丘で越冬を含めた通年放牧を開始した。美桑が丘のドサンコ放牧の経緯を過去から順にたどっていきたい。

「ドサンコが森と人を結び育む」

 2014年(平成26年)の話にさかのぼる。
この10年以上前にモンゴルで出会った「蒙古馬」を起源とする「ドサンコ」(北海道和種馬)を飼う決意をし、準備を着々と進めていたとき、出会いが突然にやってきた。
 2014年(平成26年)の秋にドサンコ2頭が、亀田郡七飯町東大沼の大沼流山牧場から下川町を訪れ、3日間にわたって町内南町「美桑が丘」で林間放牧された。
 流山牧場では馬を活用した敷地内森林整備、教育、セラピーなどに取り組んでいる。下川でのドサンコ林間放牧は、この手法を活用することで、森林づくりを通したコミュニティの再形成を図るのが狙い。ドサンコに強い関心を持っていた筆者も、この活動に賛同した。
 美桑が丘のクマザサ密集地を囲むように電気牧柵を設置した後、その中へドサンコ2頭を放牧し、3日間でどれだけササを食べるのか、で実験が行われ、その結果、明確な違いが分かるほどの成果が見られた。
 さらには地元住民を対象にドサンコとの森林散策、木の運び出し、乗馬などの体験が行われ、参加者20人がその魅力に触れた。ドサンコの可能性を学ぶ勉強会も開かれた。
 当時流山牧場から来た北川浩二さん、西埜将世さんは「ドサンコは林床に生える多くの草を食べてくれる。2、3年の放牧でササは生えなくなった。馬搬は道がいらない、騒音がない、景観的に良いなどメリットがあり、小規模森林整備に効果がある」と話していた。
 これをきっかけに、ドサンコを流山牧場から購入すると決めた。筆者も自分の所有林をはじめ、町内の森林でドサンコを放牧し、ササを食べさせることで森林を育みたい。馬と森と人が共存する暮らしを目指したい。馬の飼育と調教の研修のために、翌年春に同牧場へと足を運んだ。これが始まりだ。

 <今回の記事は2016年1月15日付名寄新聞掲載の記事を再編成>


「愛馬が初めて市街に行った日」

2016年9月17日、筆者を乗せた愛馬「ハナ」(ドサンコ)が、ついに下川町市街地までやってきた。このときがハナの初めての市街地往来となった。
市街地付近の森「美桑が丘」(みくわ)で2週間程度、林間放牧をし、馬を生かした森林づくりを模索するのが目的。すっかり定番となったハナの美桑が丘放牧も、このときから始まった。その当時を振り返る。
 同年の移動林間放牧は、9月に入ってから準備を開始。美桑が丘管理者の意向を聞きながら場所を決定し、電気牧柵の設置などを進めた。ササを刈り取った後で広場として利用されている場所に、再びササが生えており、まずはこの場所に愛馬ハナを放牧することで、ササを食べてもらうことになった。
 17日には、地元サークル「リンリン倶楽部」主催の第6回ドサンコポタリングを兼ね、自転車で走る参加者と共に、ハナに乗って下川町内三の橋から渓和方面を経由し、市街地を目指した。
 ハナは大雨直後だったこともあり、雨でできた水たまりや滝の音に驚き、市街地の標識、建物、工事の音、信号など、見慣れない数々の光景に緊張している様子で、時々脚が止まりそうになった。
 そんな愛馬を前へ押し出しながら、幼児センター前では、幼児と保護者の声援も受け、下川町市街地付近の森林(幼児センター南側、桜ヶ丘公園フレペ広場東側)「美桑が丘」へ到着した。

<今回は2016年9月24日付名寄新聞掲載の記事を基に再構成しました>


以上、美桑が丘放牧の始まり。その後の展開についてはまた後日に。