「協働」の地域社会を目指して2

2 名寄市で働く外国人の紹介1

技能実習制度や特定技能制度の適用を受け、名寄市で働いている外国人と、雇用している事業所を取材したので紹介する。
名寄市特別養護老人ホーム清峰園(後藤裕子施設長)では、慢性的な人手不足を解消するため、特定技能制度を活用して外国人の受け入れを検討し、昨年5月にネパールから、イムソン・アラチさん(34)、モクタン・ウルミラさん(32)、シェルパ・ラクパさん(39)の3人を、介護スタッフとして受け入れた。
同園によると、札幌市の人材派遣会社(監理団体)を通して準備を進め、受け入れを決定。3人は、事前に日本語の学習を重ね、いずれも日本語能力検定(N5から始まり最高位はN1)のN4の資格を取り、簡単な日常会話を理解することができる状態で来日。事前に月1回程度、オンラインでコミュニケーションを深めた。現在は、全員が業務課の介護係に所属して働いている。
後藤施設長は、「現在、全員が日本語能力検定のN3を目指して勉強し、実務経験3年後は、介護福祉士の資格取得を目指している」と話し、また、「2月には人材不足の解消を目指してネパールを訪問した。4月以降、新たにネパール人3人の採用を予定している」と語っている。

イムソン・アラチさん

イムソン・アラチさん
ネパールの山岳地帯の出身で、両親、姉、弟の5人家族。ネパールでは、助産師の資格を持つ。来日して約10カ月が経過し、「最近、日本語もだいぶ分かってきました。仕事にも慣れてきて楽しいです」と述べる一方、「漢字は難しい」と話す。利用者は、父母や祖父母と同じで分からないことは利用者に尋ねていることも多いという。仕事面では、分からないことは先輩や上司に聞くので、特に、「困ったことはない」と話している。
趣味は、旅行や音楽を聞くことで紋別へ行った。食べ物は、おにぎり、野菜、果物などが好き。名寄での寒さは気にならず、「雪は好きです」と笑顔で話し、3年後の介護福祉士の取得に向けて頑張っている。

モクタン・ウルミラさん

モクタン・ウルミラさん
ネパール南部の都市出身で、両親、兄夫妻の5人家族。名寄での生活や仕事にも慣れ、「入所者とのふれあいが楽しく、仕事は楽しい」と笑顔で話す。分からない時は、すぐ職員に聞くので、特に困っていることはないという。3人一緒に暮らしているので、食事の支度などは当番で実施しているといい、食材などの買い物は、市内のデパートに3人で一緒に行っている。やはり、漢字が一番難しくて苦労しているとのこと。暑いより寒い方が好きで、名寄の寒さは気にならない様子。
趣味は、ダンスや旅行で、紋別のほか札幌へも友達に会いに行った。食べ物は全部好きで、生ものは、ネパールになかったことから苦手の様子。3年後の介護福祉士の資格を目指して頑張っている。

シェルパ・ラクパさん

シェルパ・ラクパさん
ネパールの首都カトマンズの出身で、夫、娘2人の4人家族。名寄での生活や仕事にも慣れ、「入所者とのふれあい、特に、食事介助が楽しい」と、笑顔で話す。仕事上の分からないことは、先輩職員などに聞いて対応しているので、特に困ったことはなく、2人と同様、漢字を覚えるのが一番難しいという。人の世話をすることが好きで、食べ物も、「生もの以外は全部好き」と話す。また、ネパールでは、日本のような福祉施設が少なく、家族介護が原則であることから、入所者は祖父母や両親のようで、親しみがわくと話している。

利用者を囲み笑顔の3人

後藤施設長は、「3人とも優秀で、常に前向きに仕事をしてくれています。他の職員のいい刺激にもなっており、大変助かっています」と話し、現在は日勤のみであるが、今後は夜勤も予定している。
3人が居住する第14区町内会の田中和秋会長は、「外国人の方が町内に住むのは初めてですが、ラジオ体操や、新年会など町内会の行事にも積極的に参加してくれている。地域に溶け込んでもらえ、今後も、コミュニケーションを図っていきたい。他の町内会でも、外国人が居住した場合、温かく迎えてほしいし、広がってほしい」と話す。
川崎かおる同町内会女性部長は、「最初はごみの分別に苦労したようで、定期的に家庭を訪問しました。また、子ども会や女性部の行事などにも、声をかけると積極的に参加してくれ、引き続き呼びかけていきたい」と話している。田中会長、川崎女性部長とも、「今後も、町内会が必要なサポートを行い、安心して暮らせるよう見守っていきたい」と語っている。