名寄土管製作所 「最ももらいたかった人の一人」 日本人唯一の五輪アルペンメダリスト 猪谷千春さんを訪問、プレート制作用の手形を採取

【名寄】

猪谷さん(左)を訪問した
松前さん(松前さん提供)

名寄土管製作所取締役会長の松前司さんは2日、東京に在住する、日本人で唯一となる冬季オリンピックアルペンスキーメダリストの猪谷千春さん(92)を訪問し、セラミック製手形プレートの制作に当たり、猪谷さんの手形を採取した。松前さんは「手形を集めて30年。最ももらいたかったメダリストの一人」と興奮気味に語る。
同製作所では、プロ野球選手や、冬季オリンピックのメダリストなど世界の舞台で活躍している選手たちの手形やサインを基にしたセラミック製プレートを制作。
このうち冬季オリンピック日本人メダリスト(スキー、スケート、スノーボード、カーリング・74人)では、リレハンメル冬季五輪ノルディック複合団体金メダルの荻原健司さん、河野孝典さん、阿部雅司さん。長野冬季五輪スキージャンプ団体金メダルの原田雅彦さん、斎藤浩哉さん、岡部孝信さん、船木和喜さんなど、これまでに18人の手形プレートを制作している。
完成した手形プレートは、札幌オリンピックミュージアムをはじめ、なよろ温泉サンピラーなどに展示。松前さんは「選手は“選ばれし手”。サインは人の名、たくさん集まれば名を寄せる(名寄)。選手のリアルサイズを残すとともに、名寄を広くPRしたい」と話す。
猪谷さんは、1956(昭和31)年のコルチナ・ダンペッツオオリンピックに出場し、アルペンスキー回転で銀メダルを獲得。これは冬季オリンピックでは日本初となるメダルで、またオリンピックにおいて、日本人唯一となるアルペンスキーのメダリストでもある。トレードマークの黒いウェアから「ブラック・キャット」の愛称で親しまれていた。国際オリンピック委員会名誉委員。
猪谷さんとは、都内のホテルで接見。松前さんと、同製作所副工場長の加藤友浩さんが訪れ、手形やサインなどを採取した。
松前さんは「直接、言葉が交わせるとは思いもしなかった。本当に穏やかな方」と感慨深げな表情。当時のアルペンスキーのタイム計測は、5人の計測員がストップウォッチでタイムを計測し、最高・最低をカットした3人の平均タイムが採用されたこと。メダルを獲得したオリンピック本番、猪谷さんは、回転競技2本目に旗門不通過となりそうになったが、直前で回避できたことなど、オリンピックでの思い出話を聞くことができたとのこと。
松前さんによると、手形プレートの制作には約1カ月間を要し、完成後は、札幌オリンピックミュージアムやなよろ温泉サンピラーに展示する他、猪谷さんへプレゼントしたいとのこと。
松前さんは「理想はメダリスト74人全員分の手形を集めること。これを足掛かりとして、名を寄せる取り組みに拍車をかけていきたい」などと語っている。