2021年の冬・馬そりシーズン2年目

所有林の細木で梶棒を製作

 「冬だ!」「雪だ!」「馬そりの季節だ!!」
 ということで、積雪シーズンも本格的になり、2021年も前年に続いて愛馬ハナと共に「馬そり」を楽しんでいた。
 「馬そり」では、そりと馬具を鎖でつなぐだけでなく、2本の「梶(かじ)棒」を使う。そりの左右に梶棒の下部、馬具の左右に上部を引っ掛け、左右への梶切り、ブレーキの役割を果たす。
 昨年は庭にあった市販の杭を梶棒として代用したが、今年は、秋に自分が所有する森林から、ミズナラの細木1本を伐採して作った。
 安全のため、伐採は森林に詳しい友人に協力してもらった。木を運び出す際に少し道に迷い、出口を探すうちに、切った木を置いた場所まで分からなくなるハプニングも起きた。
 諦めて帰ろうとしたときに見つかったが、森林は道を分かるよう目印を残したほうがよい―など、教訓になった。
 木は梶棒の長さに合わせて2本に切り分け、皮をむいて保存した。
 手作りの梶棒のため太く、馬具に付属する輪に通せず、ワイヤーやロープで固定。繰り返すうちに仕組みをだんだん理解し始めた。雪などでずれることもあるため、いずれ切り込みを入れたり、太さの調整など加工を施し、完成度を高めたい。
 昨年始めた「馬耕」に使うために、知人からいただいたドッコイ(引き木)も今年の馬そりに活用。ドッコイの中央をそり、両端を馬具の左右にある「胴引き」に鎖でつなぎ、馬にそりを引かせる。
 胴引きを直接そりにつなげていた昨年と比べ、ドッコイを通すことで左右の揺れを吸収でき、そりも安定した。
 重いものを引かせることは、ハナ自身の体づくりにもなり、馬耕にもつながってくる。最終的には馬車だろうか。少しずつ成長したい。

筆者を乗せたそりを引く愛馬ハナ

<今回は名寄新聞の2021年1月9日付掲載記事を基に再構成しました>


<再掲載>馬そり1年目をつづったコラム「愛馬ハナとそり引きへ挑戦」

筆者を乗せたそりを引く愛馬ハナ

 筆者が下川で北海道和種馬のハナを飼って、2020年3月で4年半が過ぎた。その冬から乗馬に加え、馬そりも楽しんでいる。
 2016年3月に町内のおじさんから、昔使っていた木製そりをいただいた。名寄産でばん馬が引いていたもの。ハナには大きめで破損部分もあるので、これをベースにハナ用に作り替えられないかと思い、シートを被せて保存。引くための馬具も購入した。
 2019年7月に町内一の橋に、家具を修理、再加工する「家具乃診療所」がオープンした。筆者も保存していた馬そりを、軽バン(軽貨物自動車)に載るサイズへの小型化と、破損部分の修理を依頼。2020年1月にハナ用のそりに生まれ変わった。
 1月27日に雪上で、馬そりのトレーニングをスタート。初日はハナにハーネスを装着して、手綱を操りながら、棒を引かせた。
 翌日はタイヤを引かせた。タイヤのみから始め、途中でタイヤに筆者が乗った瞬間、ハナは「え?」とこちらをチラッと見て止まったが、繰り返すうちに意味を理解したようで、筆者が乗ってもタイヤを引き続けるようになった。
 3日目、いよいよそりをつないだ。左右に1本ずつ引っ掛ける梶棒は、庭にある棒で間に合わせた。棒の上部を馬のハーネスにある輪に通し、下部はそり前方へ接続。方向転換などに生かされる。馬の胸部に付けた馬具から伸びる左右の力革もそれぞれ、鎖でそりとつなぎ、これでそりを引く。
 ハナは準備を終えて合図すると、筆者の乗るそりを引いて歩き始めた。
 それ以降、妻や友人と一緒に馬そりを楽しんでいる。バランスを保ちながらの立ち乗り、2人乗り、上り下りで異なる重量感、加速した際のジェットコースターのようなスピード感、全てが楽しい。
 人と馬の安全確保や、馬への負担軽減を考え、馬具、そり、梶棒の取り付け方などを改善しながら、万全の体制を整えていきたい。と当時の筆者は言う。
 そして今はいろいろな方たちと馬そりを楽しんでいる。

再加工中の馬そり(切り取られた分だけ小型化)

<名寄新聞の2020年3月1日付掲載記事を基に再構成しました>