下川町出身で名寄市など2拠点生活の全盲写心家、大平啓朗さんは、筆者が下川町内で飼う北海道和種馬(ドサンコ)のハナともお友だち。そんな彼が、「全盲写心家」を志すことになった経緯に、馬との思い出がある―と語る。そのエピソードを詳しく聞いた。
大平さんは19年前に事故で視力を失ったが、カメラを手放すことなく、大好きな写真撮影を続けた。失明から2年後、コンテストに応募しようと、被写体に馬を選んで風連町の牧場を訪ねた。
一眼レフカメラを構えながら餌をあげて触ったり、馬の歩く音をヒントにシャッターを切った。
だが、作品の選び方が確立していなかったため、他者の意見を強く反映させた。いわゆる見える人の感覚で「きちんと写った作品」を応募することになり、入選できなかったことよりも、自身が意図する「感覚でとらえる作品」ではないものを選んだことに悔しさだけが残った。
「上手い下手ではなく、自分で感じて自分で選び、自分を貫いた作品で勝負しよう」と決意し、再びポニーの牧場へ。
リベンジ撮影では、ほふく前進でポニーに近づき干し草を与え、ムシャムシャと草をはむ音、フーゴフゴという音で鼻だけをとらえたものなど、自分ならではの作品を確立していった―と言う。
(次回、大平さんと筆者の飼うハナとの出会いへ続く)


<今回は名寄新聞の2017年12月4日付掲載記事を基に再構成しました>
大平さんは2003年に事故で失明したが、好きな写真を撮り続けながら、09年に1年間かけて、全国47都道府県を民泊で旅した。北海道認定の福祉教育アドバイザーとして学校授業や講演、音楽やワークショップ企画、ダンス、スキューバダイビング、スキー、パラグライダー、乗馬、海外旅行、ラジオパーソナリティ、バー店長など多くの挑戦を重ね人生を楽しむ。「全盲ハッピーマンおーちゃん」として、多くの人たちに勇気と元気を与えている。
