4 隊員・家族・OBなどが居住することによる効果
駐屯地には、現在、約 1600人の隊員に、家族及びOBを加えると、約4000人の自衛隊関係者が、名寄市に暮らしていると想定される。これは、総人口の約15%を占め、業種別では名寄市で最大である。
名寄市では、一般会計(2021年度決算では収入総額235億2400万円)の収入に占める割合が最も多いのは地方交付税(地方自治体の財源不足に対して国から交付される交付金のこと)で、同決算では、100億8600万円が交付されている。これは、収入全体の43%にあたる。
地方交付税は、人口、面積、道路、公園、児童・生徒数など、多くの項目毎に積み上げる仕組みになっている。
このうち、人口を基準に積算(名寄市では1人当たり14万5千円)されるものが最も多く、OBを含めた自衛隊関係者の居住により、年間、約6億円が積算されている。他に、教育関係では、学校数、学級数、児童・生徒数により積算されるため、自衛隊関係者の子弟が多くの小中学校に通っていることも大きい。
また、関係者の居住による市税(主なものとして市民税、固定資産税などがある。正確な金額の積算は困難であるが、相当な金額に上る)収入、その他、自衛隊関連施設などがある市町村に交付される*基地交付金は、合併後の2006年度以降、合計で1億円以上が交付されている。
次に、居住による消費効果について考えてみる。名寄市独自の消費実態調査などは存在しないので、ここでは、総務省の家計調査を参考にする。
同省の2021年家計調査(1世帯当たり1カ月間の用途別支出金額・下表グラフ)では、支出の多いものを用途別に挙げると、食料、その他の支出、交通・通信、教養娯楽、住居、光熱・水道、保健医療などの順になっている。
これらは、地元で消費されるものばかりではないので、地元消費額を正確に把握することは困難であるが、仮に、1世帯当たり、1カ月に10万円を消費していると想定した場合、年間、50億円程度の消費効果が見込まれる。
この他、住宅の着工などは、多方面への経済効果があり、自衛隊関係者の居住は、名寄市の商工業の振興などに大きく貢献していると言える。
*基地交付金 正式には、「国有提供施設等所在市町村助成交付金」といい、自衛隊が所有する施設や建物などは非課税であるため、本来の固定資産税に相当する金額が、基地交付金として名寄市に交付されている。