軒の雪庇(せっぴ)を早く、楽に、何よりも安全に落とす―。札幌市の株式会社アルパインクリエイト(福地政弘社長)は、雪庇にロープでくくり、雪を切断して落とす「ナイアガラカット」を開発し、昨年12月から販売している。福地社長は「名寄など雪の多い地域で商品が広く認知され、1件でも雪下ろしの際の事故を防ぐことができれば」と語っている。
福地さんは小樽市の出身で、前職は北海道電力に勤務。函館、札幌、倶知安などに勤務し、2022年から2年間、送配電事業を担う北海道電力ネットワーク名寄ネットワークセンターで勤務していた。倶知安での勤務時代、電柱の上に積もる雪が原因で、設備の損壊や停電を引き起こす問題に直面。以来、雪対策の検討を行ってきたという。
商品開発の背景に、屋根の雪下ろし中の事故で亡くなる人は、この10年間で約800人にも上るとともに、福地社長の近しい人が、雪降ろし作業中に重症を負うという経験があり、「人命を守りたい」と一念発起。雪対策の経験を生かし、24年1月ごろから商品イメージの具現化に向け始動。名寄の知人宅での実証試験などを経て、同年11月に起業、同年12月から販売を開始した。
ナイアガラカットは、最長で長さ8.5mまで伸びるアルミ製のポールと、ドラムリールに収められた切断用のロープ(38m)のセットからなる。ロープを雪庇にくくるためのアルミポールは、重さ2.4kgと軽量で、通常の2階建て住宅の軒にも十分届く作り。
切断用のロープは、漁業用に使われている素材が使用され耐久性にも優れ、耐荷重約200kgと高い強度を有する。福地社長は「ロープが太すぎると雪に食い込まず、一定程度細くて強度の高いロープが必要だった」という。
庇落としの手順は、アルミポールを伸ばして雪庇をロープでくくり、ロープの先端に付いているフックをロープに掛け、ロープを引いて締めると、雪庇にロープが食い込んで切れ落ちる仕組み。
福地社長は「雪の落ちてこない場所からロープを引くので安全。従来品では届かない高所や、固い雪でも落とすことができる」とのこと。巨大な雪庇が落ちる様子は滝のように見えることから、ナイアガラカットを名付けたという。
福地社長がこのほど、名寄新聞社に来社。弊社社屋にできた雪庇でも実験。雪庇はきれいに取り除かれた。
商品の詳細は、同社ホームページ(https://www.alpine-c.com/niagara-cut/)を参照するとよい。
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