稚内出身・佐藤さんが宝塚音楽学校に合格 倍率12倍、狭き門を突破 2年間で歌劇団員を養成

稚内市出身で今春、市立札幌旭丘高校を卒業した佐藤直美さん(18)が、宝塚歌劇団の団員を養成する宝塚音楽学校(兵庫県)に合格した。佐藤さんにとって今回が3回目の宝塚挑戦で、18歳の今回が最後の受験機会。倍率12倍に及ぶ狭き門を突破しての合格に佐藤さんは「歌とお芝居が好きで、得意な分野で頑張りたい。稚内市民の方にも宝塚の魅力を伝えることが出来れば」と決意を語った。

酪農家庭で育ち、天北小中を卒業後、札幌旭丘高校に進学。母・仁美さんが宝塚歌劇団のファンだったこともあり小学2年の頃に初めて鑑賞。それからは観劇やDVDなどを通じて興味を抱き、宝塚への挑戦を決意。中学時代に稚内のクラシックバレエサークル・プリエに所属。高校進学後には宝塚の受験に特化した大阪の教室で講習を受けるなどした。

宝塚には中学3年、高校2年、高校3年で計3回挑戦。「中学でやめようと思いましたが、諦めきれませんでした」と飽くなき挑戦心。今回の試験は3月17日に1次が行われ、姿勢や声、表情などが審査。1次試験を突破し、2次は3月23日でバレエやジャズダンス、楽譜を見ながら歌うなどの実技。3次は3月26日に行われ、質疑応答と健康診断。質疑では「音楽学校に合格したら稚内にどのように貢献できるか」などと聞かれた。

最終試験翌日の27日に発表があり、兵庫滞在中に仁美さんとインターネットで合格を確認。「信じられないという思いで合格を確認しました」と。受験前のレッスンで苦労したこともあり「ついていくのが大変で、楽しいと思えなくなったことも。それでも今年に入り、練習の積み重ねが成果となり、レッスンについていけるようになり、楽しさを覚えた」と振り返った。
稚内市を含む宗谷管内、更には旭川以北で初の宝塚合格。今回の試験では佐藤さんが北海道内唯一となった。宝塚への馴染みが少なく、稚内市民にとっても遠い存在だが、佐藤さんは「稚内出身者が合格したことで、地元の多くの方に興味を持ってもらい、魅力を少しでも伝えられるよう努力します」と。

宝塚歌劇団によるステージを、これまでに10回は鑑賞している佐藤さん。「舞台が始まった瞬間に鳥肌が立つほど。演じている方がつくる一体感がすごいです」と魅力を語る。
宝塚音楽学校は今月19日に入学式。2年間のカリキュラムを経て宝塚歌劇団への入団を目指すことになる。
父・正輝さん、仁美さんの両親は「関わって頂いた方々に感謝。やると決めたら、とことん努力する性格。無理せずに頑張ってほしい」とエールを送る。

(梅津眞二)