道閉ざす大雪、馬そりが活躍

放牧地除雪中に寄り添ってくる筆者の愛馬ハナ

 今回も地域の皆さんからいただいた「馬との思い出話」。

 下川町南町在住の我妻幸子さん(2016年当時で74歳)は北海道湧別町出身。どの農家でも農耕馬を飼い、我妻さんの家も飼っていたようだ。
 ―以下、我妻さんの思い出から抜粋。
 冬には馬そりで精米や小麦の製粉に出かけ、2㌔以上離れた小中学校の登下校も、乗せてもらって通いました。昭和30年に中学校を卒業した後、すぐ農業に就きました。
 春先に馬で畑のうね切りをしていたところ、馬のもくし(頭絡)を思いっきり引っ張ったら、自分の足の上に馬の足が上り、私の足はつぶれました。まだ冬の蹄鉄を履いていたので痛かったです。
 牛も飼っていたので、絞った牛乳を輸送缶2本に入れ、馬そりで道路まで運び出していましたが、初日には急カーブでそりが横倒しになり、缶2本の牛乳が共に半分こぼれてしまいました。
 昭和40年3月、大雪に見舞われた紋別市内で結婚式が行われましたが、積雪で車が走れず、みんな馬そりに乗って式場へ行きました。
 今のように機械がなく、年中馬で仕事をし、馬の世話をしていました。
 ―以上、我妻さんの思い出でした。
 馬を飼う筆者にとって、年中、愛馬と仕事ができるのは理想の暮らし。機械に頼らず、自然や馬のペースに合わせて生きていけたら、(大変なことも多いと思うが、それでも)どんなに幸せだろうか。

<今回は名寄新聞の2016年2月22日付掲載記事を基に再構成しました>