風連町・名寄市合併20年を迎えて⑬

第13回 終わりに

 上川北部市町村の任意合併協議会による合併協議から23年が経過し、間もなく合併後20周年を迎える。
 これまで、合併の経過、新市の誕生、財政、人口減少問題、柿川弘元風連町長、島多慶志前名寄市長、加藤剛士市長など関係者の声を、12回にわたり掲載してきた。
 合併は、新設合併であっても「合併で寂れた」「人口減少が進んだ」など、小規模市町村側に不満が残る場合がある。道外では、山口県周南市(2003年4月に徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町が新設合併)で、旧熊毛町の住民有志が「熊毛町を取戻そう会(村上秀夫会長)」を結成し、周南市からの分離独立と、平成の大合併により呑み込まれた周辺町村を地域住民の手に取戻す「分立・分離促進法」の制定を求める運動を展開している。
 道内における平成の大合併は、函館市の編入合併(04年12月1日に戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町を編入)に始まり、最後の湧別町(09年10月5日の湧別町、上湧別町の合併)の誕生まで、55市町村が関わり22市町が誕生(編入合併を含む)した。結果として市町村数は33減り、179市町村となった。
 編入を含めて合併により誕生した市町の庁舎は、本庁と支所または総合支所の組み合わせが多い。釧路市では、旧音別町と旧阿寒町に行政センターを設置している。名寄市のように分庁舎方式をとっているのは、北斗市(上磯町、大野町)、新ひだか町(静内町、三石町)、湧別町(湧別町、上湧別町)の4市町となっている。
 分庁舎方式は、両地区の均衡ある発展に一定の役割を果たしてきた。しかしながら、人口減少は急速に進み、行政の効率化はより一層求められている。庁舎の老朽化が進んでいる現在、庁舎の在り方については、今後の大きな課題の一つとなっている。
 合併の際、各種団体の統合なども含めて多くの事務事業のすり合わせが行われた。都市交流事業、除排雪、行政区の設置継続など旧風連町の制度・事業を、合併特例区を設置して5年間継続した。特例区廃止後は、新市の事業として統合され実施されている。
 ごみの収集については、名寄地区では現在も戸別収集、風連地区ではステーション方式をとっている。風連地区では、24年5月からごみの「ふれあい収集」を始めた。廃棄物対策担当職員を配置し、障がい者や独居の高齢者などの利用者宅を訪問。ごみ収集と合わせて安否確認を実施している。ステーション方式についても、リサイクルステーションとごみステーションを一体で収集するモデル事業を2町内会で取り組むなど、風連方式が定着化しつつある。
 道路の舗装率について、風連地区の市民から聞かれたので市都市整備課に確認した。
 同課によると、合併前(05年度)の市街地の舗装率は、旧風連町が82・14%(延長距離22・4㎞)、旧名寄市が62・7%(同130・3㎞)、全体平均で65・55%。旧市町単位では19・44%の差があった。
24年度は、風連地区が86・84%(同22・5㎞)、名寄地区が71・03%(同131・3㎞)、全体平均で73・05%。風連地区と名寄地区の差は15・81%で、差は3・63%縮まった。舗装率は19年間で7・5%高まり、舗装延長距離は風連地区で約1㎞、名寄地区で約11㎞、全体で12㎞増加している。
 道路舗装は、社会資本整備総合交付金などを活用して限られた予算の中で実施している。距離が長く、舗装率が低い名寄地区をある程度優先するのは、やむを得ないと言える。
 第4回でも触れたが、合併後のまちづくりの推進に合併特例債を活用してさまざまな大型事業が実施された。風連地区では、住民投票の前後に合併特例債の活用について色々な意見があったので、市総務部に特例債の活用状況の資料を提供してもらった(表1)。
 資料によると、風連地区では市街地再開発事業など6事業で15億9590万円、名寄地区で(仮称)市民ホール(エンレイホール)整備事業など12事業で51億6910万円。共通で1億8820万円、道路事業で6億8420万円、合計76億3740万円の特例債を発行し、名寄市に割り当てられた限度額、全てを活用している。
 市職員の配置については、業務の進め方が両地区で異なっていたこともあり、合併後の数年間は、旧風連・旧名寄の職員を同一課・係にバランスよく配置していたが、近年はほとんど見られない。
 25年4月1日現在の一般職の職員数は361人で、そのうち合併後の07年度以降の採用者が221人と61%を占めている(市総務部)。市役所内で旧風連・旧名寄を単位とする議論は少なく、この20年で両地区の一体化は醸成されてきている。
 風連地区の町内会長で構成する風連地区町内会連絡会の久保和幸会長は、合併後20年が経過する現状について「風連と名寄は、距離が近いこともあり昔から医療、教育、商業などを中心に一体感があった。ごみの収集方法などで、一部異なる部分はあるが、合併後も一体感が保たれているのではないか」と語っている。
 風連中学校の3年生は、まちおこしプロジェクトに取り組んでいる。NPO法人なよろ観光まちづくり協会の畑中覚是専務理事は、同プロジェクトの講話の中で、人口減少に伴う代替案(外貨獲得)として、交流人口の増加などによる経済効果を金額で示して生徒たちに伝えた。
 これによると、定住人口一人当たりの年間消費額は135万円(全国平均)であることを報告。この金額は外国人旅行者1人分の旅行支出額(約21万3千円)、国内旅行者(宿泊)1人分の同支出額(約6万3千円)、同(日帰り)1人分の同支出額(約1万9千円)に当てはめて計算すると、外国人旅行者6人分、国内旅行者(宿泊)21人分、同(日帰り)71人分になると説明した。
 名寄市の人口減少についても触れ、2010年~24年の14年間で約5800人、毎年平均413人が減少していることを伝え、413人が毎年135万円を消費すると、年間の消費額は5億5755万円となる。この金額は、外国人旅行者数で2478人、宿泊を伴う国内旅行者数で8673人、日帰り旅行者数で2万9323人―に換算されると説明。どのような取り組み・組み合わせで、人口減に伴う消費の落ち込みを確保していくかを考えてほしい―と生徒たちに訴えた。
 昨年11月7日の市教研の研究大会では、同中の3年生が7グループに分かれてプロジェクトを発表。畑中さんのアドバイスを受け、人口減少による消費減を、イベントやキッチンカーの活用によるピヤシリスキー場の活性化、名寄のゆるキャラ「なよろう」の妹「Yoroko」登場による経済効果、道の駅に新たなシンボルの建設と新キャラクター「らいすけ」による来場者増、屋台村建設による入込客増―などの取り組みを発表した。
名寄市の発展に期待を込めた現実的な提案に、来場者は多くの関心を寄せていた。
 このような中学生の取り組みは、今後のまちづくりに大きく期待できる。小学校や高校でも、総合学習、探究の時間などを通して、将来の名寄市の在りたい姿を目指した取り組みが行われている。
 急速な人口減少など名寄市が抱える課題は数多いが、郷土愛による小学生から高校生までの課題研究などの取り組みが、10年、20年後の名寄市の礎になることを期待する。

 第7部終わり