下川町出身で名寄市など2拠点生活の全盲写心家、大平啓朗さんが、視力を失ってから初めて乗馬を体験したのは、2009年の春、函館の牧場を訪れたとき。
スタッフの引き馬で歩くとはいえ、大きな馬に乗せられ、手に手綱のみ、鞍(くら)の鐙(あぶみ)には、足の指先さえ乗っていない状態で山坂道を往復40分。背筋を伸ばすよう指示を受けるが、目が見えないため、顔が木の枝葉に当たり、緊張で体が硬直状態だったらしい。
2度目の乗馬は同年の夏、1年間の旅で島根県を訪れたとき。乗馬をしながら、人と馬の関係、ホースセラピーのことを聞いた。
「『いつか馬と人が交流する姿を撮影したい』と心に強く残り、それが小峰さん(筆者)とハナちゃんを見たいと思うきっかけになった」と言う。
そして3度目の乗馬は、今夏、筆者の愛馬ハナに会いに来たとき。大平さんは「初めて馬の背中で歩行を感じながら、シャッターを切れた。やっと馬と仲良くなれた感じがする」。
また、「これまでは視覚情報がない中、いろいろ指示を受け、落ちないように必死だったけれど、ハナに乗ったときは鞍につかめるところがある安心感、自由に乗って良いという雰囲気が最高だった」と振り返る。
「ライフワークの一つに、自分の力で馬装して馬に乗り、一緒に厩舎(きゅうしゃ)に戻れるぐらいの関係を築きながら走りたい。その中で馬と人との関係を撮影し、ホースセラピーを知ってもらう機会にもしたい」と夢を膨らませる。

全盲写心家、大平啓朗さん

大平さんが撮影した写真

撮影した「ハナ」
<今回は名寄新聞の2017年12月18日付掲載記事を基に再構成しました>
大平さんはその後もハナとチャレンジ。乗馬で下川のまちなかを歩き買い物にも行った。
自身の動画チャンネルでその様子を紹介している。
全盲カメラマン馬に乗ってコンビニへ(前編) https://youtu.be/7pBqYSeyeuM
全盲カメラマン馬に乗ってコンビニへ(後編)https://youtu.be/2onKCGt2VUU
